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●海のにおいがする。映画のセットのようなバスの待合所は訪れた観光客と町の人たちで賑わっている。 「あんた、なんにするの?」 ●とれたての魚を売るおばちゃんの威勢のいい声。港で干物を作るおじちゃんの背中。 ●細い路地には町の歴史を物語る白壁のお屋敷と町の暮らしを支える商店街。 「おいていくなやぁ」 ●追い越してゆく子供の自転車軍団。壁のチョークの落書き。寝そべる野良ネコ。駄菓子屋さん。大きな松の木。境内の困った顔の犬。 「ここで遊んじゃいけんぞ」 ●いたずらっ子を叱り飛ばすおじさんの声。路地でみつけたおばちゃんの理髪店。道端のお地蔵さま。 ●初めて来たとは思えない。いつかどこかで出合った風景。いつかどこかで出会った人々。鞆の町には懐かしい日本の風景が残っていた。 ●いつまでもこのままでいて欲しいと思うのは旅人のわがままだろう。けれど、またここであえる日を信じていたい。
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絵図・ひのただし 文・ひのしのぶ
読売ライフ広島版2000年12月号掲載 (c) 2000, edit CUE 情報は2000年当時のもの |